貧困問題に関心がある。できれば支援団体にボランティアしてみたい。
けれど、「実際なにをしているの?」「何だか恐い」「自分なんかができることなんてあるの?」
そんな迷いから、参加に踏み出せない方も多いのではないでしょうか?

そんなわけで今回は、実際に一日参加してみた体験レポートをお送りします。
この日おじゃましたのは「のじれん-渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合」
渋谷の真ん中で1998年より活動、毎週土曜日炊き出し(共同炊事)を行っている団体です。
ボランティアとしての一日。そこではどんな驚きが待っているでしょうか?

「非効率だからこそ、誰も取り残さない空間」:のじれん・室田大樹さんが語る「渋谷の真ん中で野宿の仲間と野菜を刻みつつ紡ぐ自由」

2015.07.19

【15時30分~】まずは最初のミーティング

ボランティアに参加したい方は、毎週土曜日15時30分までに、渋谷区宮下公園新階段下に集合します。

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ですが、現在(2015年7月時点)この場所にはワゴン車を改造した屋台が営業、塞いでいることが多いとのこと。
この日も塞がっていたので、すぐ見える5メートルほど離れたもう一つの階段下に集合。ここで本日の活動を行うことに。
野宿の方も含む4~7人ぐらいの方が集まっているのを見つけたら、元気に挨拶していきましょう!

炊事道具を満載した車も到着したら、集まった全員でミーティングの開始です。
今日この場で作るメニューと段取りを話し合って決めます。

メニューは、その日揃っている野菜や調味料を考慮しつつ「どんぶり(ぶっかけ)」と、可能なら「一品料理」を作ります。
使っている野菜は、活動に賛同して下さっている八百屋や個人農園などから分けて頂いているとのこと。

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この日のメニューは、どんぶりは「カレー」、一品料理は「きゅうりと大根のサラダ」に決定!
続いて炊飯の担当、大鍋の担当、水汲みの担当などを決めて、いよいよ準備開始です!

【16時~】準備の開始!

総出で車から炊事道具を運び出し、階段下のスペースに並べていきます。

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場の中心に立てられるのは、調理台と食卓を兼ねた大きなテーブル。
切り込みを入れた2枚のパネルをかみ合わせ、その支柱の上に大きなパネルを差し渡して作ります。

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水は階段を昇ってすぐ、宮下公園内の手洗い場からポリタンクに汲んで調達。
米をとぎ、ガスボンベとコンロを接続したら、いよいよ点火。鍋で湯を沸かし始めます。
同時に炊飯もスタート。全員の胃袋を満たす量として、これから3回も炊かれます。

【16時30~】ひたすら刻む……

洗われた野菜が調理台に広げられ、台を取り囲んだ約15人が一斉に包丁をふるって刻んでいきます。
じゃがいも、たまねぎ、トマト、ピーマン、ほうれん草、カブと、平均して100~150食分相当の野菜ですが、さすがにこの人数だと見る見るうちに減っていきます。

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まな板から顔を上げれば、そこは渋谷の路上のど真ん中。通行人が怪訝な顔をして通り過ぎていきます。
こんなところでみじん切りしているなんて、何だかとってもシュール。

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【17時10分~】コーヒーブレイク

おおかたの野菜を切り終え、それらは切られた端から大鍋に投入。ちょうど煮始めた頃、調理を遠巻きに見ていた人も集まってきます。

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ここら辺で一服のコーヒータイム。
各種インスタントの飲料が振る舞われ、周囲はつかの間カフェに。

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ちょっと一服。

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【18時~】お肉と一品

一服したあと、材料切りの第二陣がスタート。
やはり15~20人がかりで譲り合いながら、今度は鶏の胸肉6キロを切っていきます。
手元が怪しい私に、元料理人だというボランティア参加の方が「鶏肉はこうやって開くんだよ」と華麗な手際でお手本を見せてくれました。
こちらも切ったそばから鍋へ投下。

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包丁・まな板を洗ったあと、一品料理用の大根ときゅうりを細長く刻んでいきます。

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今日はおやつとしてオレンジとリンゴもありました。こちらも切って、綺麗に皿へ並べていきます。

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そうこうするうちに、一回目のごはんが炊きあがり。容器にあけ、続けて2回目の炊飯に入ります。

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【18時30分~】そして味付けへ

野菜も煮え、大鍋調理もいよいよ佳境。味付けです。
味は基本的に「みそ」「しょうゆ」「塩(とりがら)」「キムチ」「カレー」のローテーションでまわし、たまに「トマト」などのバリエーションが加わるとのこと。
本日はカレー。
ですが、細かい味付けは鍋番(本日の担当者)に一任されています。
かつて路上で生活され、食べ物の屋台もやっていたというこの方は、ソースやしょうゆを少しずつ足しながら納得いく味を見極めていきます。

鍋をかき回しつつその様子を見守っていた支援者は、3年前の冬から「のじれん」に関わってらしゃるとのこと。
この方が出会った当時は、まだ美竹公園で共同炊事を行っており、パック入りのご飯と具のない味噌汁を出していたそうです。

支援者
「これはひどい、と思って、次の炊き出しの日、自宅で全部豚汁を作って運んで運んだんですね」
ところが……
のじれん
「ありがたいから今回は受け取るが、このやり方は私達のここのやり方と違う。今後も関わってくれるなら、それを尊重してくれ」
そういわれ、その後はこの場のやり方で関わることしたのの、最初は少なからず困惑することも多かったといいます。
それでも──
支援者
「ここでは作業にみんなが関わることができて、役割を与えられる場だからいいですね」
と今は笑顔でおっしゃいます。

作業台では一品料理の「大根ときゅうりのサラダ」が調理中。
ドレッシングで和えられていきます。

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この辺で切り分けたおやつも配られ、いよいよ人が集まってきます。

【18時45分~】夜が迫る

カレーの味が決まったころ、ご飯2回目の炊きあがり。
間髪入れず3回目。今日は手間取って遅くなってしまったとのこと。
夕闇迫る空が綺麗です。

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【19時~】週間のじれん便り

「みなさん集まってください!」
支援者の方がトラメガで呼び掛け、食事の前に寄り合いがおこなわれます。
本日の重要なお知らせの共有と、毎週発行されている「のじれん便り」が配布されます。

【19時15分~】カレーの完成!

いよいよ食事の準備です!
この日は時間が押しており、みんな協力して盛りつけていきます。

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「のじれん」では「配る人」と「食べる人」が分かれることで不平等にならないように、まず全てどんぶりに人数分盛りつけ、台の上に並べてしまいます。
そうやっておいて、全ての準備が完了したあと、一斉に自分の分を取るわけです。

のじれん
「作る時はみんな、食べる時もみんなで」
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こちらがようやくありつけたカレー。美味しかったです!

今日は134食が出ました。
常連の方に尋ねると「普通」とのこと。多い時で170食程度まで増えるそうです。

【19時30分~】後片付け開始

食べ終えて一服すると、そろそろ片づけが始まります。
暗闇の中、ライトの灯りを頼りに洗い物。

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車へ元通りに積み込んだ頃には、8時を過ぎてしまいます。

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【20時~】振り返り

最後に集まって、みんなで一日の集約・振り返り。
最終的な配食数の発表と、今日の炊事での問題点などが話し合われます。
来週のメニューの希望も募り、必要な調味料などの算段も。

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【20時30分~】パトロール

希望者のみ、集約終了後パトロールに出発です!
コースは「渋谷駅周辺」「代々木公園周辺」「明治公園周辺(国立競技場付近)」の3コース。
各コース3~5名でまわるとのこと。
私は「渋谷駅周辺」コースに同行させていただきました。
宮下公園下の「小屋」の入り口に、一軒一軒「のじれん便り」を届けていきます。

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ぐるっとまわって高架下。
こちらにも3~4名の方が寝泊まりしてらっしゃいます。起きている方にはひと声かけ、眠ってらっしゃる方には枕元に便りを置いていきます。

そこからさらに街を巡回。賑わう街を通り抜け、最後は渋谷109の地下に到着。
この時間、ここでは柱の影や壁際に約8名程度の方が眠ってらっしゃいました。

以上でパトロールは終了。
時刻は9時過ぎ。
みなさん疲れさまでした!

まとめ

とても面白い体験でした!

当事者の方も支援者の方も、日常活動では新顔の自分に分からないことはすぐに教えてくれて、興味深いお話なども聞かせて下さいました。
何より「みんなで一緒にごはんを作り、みんなで一緒に食べる」という(誤解を恐れずにいえば)キャンプ的なイベントには心踊るものがあり、場を構成する全員が一体感を感じることが出来たのが新鮮な体験でした。

活動の大部分を占めるのは炊事ですが、参加に際しもちろん「料理ができなければダメ!」ということはありません。
包丁使いも、最低限自分の指を切らなければOK!
ただ、最初のミーティングから最後のパトロールまで参加した場合、5時間を超えます。
無理に終日参加する必要はないとのことなので、野菜を切るところから参加し、あまり遅くならないうちに帰るというのでも大丈夫。

迷っているのでしたら「連絡なしで当日直接参加OK」の「のじれん-渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合」に是非一度参加してみてはいかがでしょうか?
渋谷の真ん中で野菜を刻むことを通じて得る、思ってもみなかった視点がそこにあります。

ABOUTこの記事をかいた人

大志郎

札幌出身・東京在住。「マチバリー」管理人。つくろい東京ファンド広報。認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 広報。広い意味で支援に関わる様々な方のお話をうかがって撮ったり書いたり。あなたのお話も聞かせて下さい。 個人ブログ→だいしろぐ Twitter→@dai46u